記念すべき1冊目は、「基本文法から学ぶ英語リーディング教本」です。どの本にするべきかとても悩みましたが、この本は、英語に対して小学生の頃から苦手意識を抱いてきた私を、英語の世界にぐいぐいと引き込んでくれた本でした。自分に興味がない分野であっても、教わり方が違うだけで、こんなにも見え方が違うのかと衝撃を受けた本でした。それでは早速紹介していきましょう。
著者は、東京大学を卒業し、予備校講師としての経験を経て、英語教育とはこうあるべきだとの基本原則の王道を突き進む英語教育界の稀有な存在である薬袋善郎先生です。最近は「最短で英語を習得する方法」や「1ヶ月で驚くほどペラペラになる英語学習法」などをアピールする英語教育本が溢れていますが、薬袋先生は決して学習者をあやまかしません。どちらかというと、スパルタ系(笑)です。何度でも繰り返せ!そして覚えるまで続けろ!!と、忍耐力なしに英語力は身に付かないことを教えてくれます。著書を読んでも完膚なきまでに、自分の英語力のなさを思い知らされますが、きちんと読み進めていくと、なぜ今まで自分が英語に苦手意識を持っていたのかがわかってきます。英語を学習する上でのいちばん大切なことを教えてもらっていなかったからです。
まずは、本書からこれぞ本質であると感じた一文を紹介します。
英語の根底には、全体を貫く「最も大事なもの」があるのです。それは「品詞と働きと活用の間にある相互関係」です。
この文章だけを読むとなんだか難しそうな印象を感じるかもしれませんが、本書を読み進めると不思議なほど理解できます。これを中学生の英語の授業で教えてくれていたら・・・なんて夢物語を思ってしまったりするくらいです。
そして次の一文は、薬袋先生の本書に込める思いがひしひしと伝わってくるのです。これまでの自分の英語学習への考え方を完全否定された気持ちになりました。
読者をわかった気にさせて、気持ちよくさせることを目的とした本ではありません。読者が本当に分かって、自分でできるようになることに責任をもつ本です。
そんなの当たり前だと思うかもしれません。でも人はいつでも簡単に何かを習得できる方法を求めるのです。そして、「1ヶ月で驚くほどペラペラになる・・・」のような本に飛びついてしまいます。実際そのような本が売れるので、需要があるのでしょうが、本当に大事なことを教えてくれる本書のような書籍が本屋の片隅に追いやられてしまうのです。(決して「最短習得」のような本を批判しているわけではありませんし、そのような本で語学を習得しスキルアップした人はいるでしょうが、私のような英語初級者であり、学校教育下での英語にいまいち馴染めなかった方にとっては本当に天地がひっくり返るような本であると思います。何故この方法で英語を教えてくれなかったのか・・・と本気で疑問に思うほどの衝撃を受けました。
- 学校での英語教育に馴染めず、今まで英語に苦手意識を持ってきた人
- 「英語は簡単」などのキャッチフレーズ本では英語が上達しなかった人
- 人生教養として英語を楽しんでいくにあたり、英語の本質を理解したい人
- 受験まである程度時間の余裕があり(私は受験まで1年期間があればオススメします)、学校で教えてもらう英語授業ではどうしても本質が理解できないと感じている大学受験を控えた人
こういった経験をしたことがある方には本当にオススメですので、せめて書店でパラパラとページをめくっていただくだけで、その魅力に引き込まれることと思います。ただ、決して短期決戦型の人とは相性は良くないと思いますので、ご注意ください。
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