今回は、「影響力の武器」という本を取り上げたいと思います。とてもシンプルな題名ですが、もうこの言葉通りです。凄まじいです。読み進めながら、本書で紹介されている様々な「影響力」にまんまとハマっていたことに気づき、身震いが止まりませんでした。正解のない社会を生き抜いていく上で、知っておくべき知識が凝縮されているといっても過言ではありません。では早速紹介していきましょう。
私たちが生きる社会が、いかに私たちに承諾させ、消費させることに全力を注いているか、そして私たち一般人はそれについてあまりにも無知であり、それゆえに様々な場面で、相手の思い通りに操られているということに気づくべきだ、と筆者は警鐘を鳴らしています。単に、詐欺師に騙されて多額の借金を抱えて破産するというような、ドラマの世界の話ではありません。あなたの日々の生活の中(例えば、スーパーマーケットやショッピングモール、TV、SNS等)に、影響力の武器が使われており、ほぼ無意識のうちに、その戦略にはまっているという状況なのです。あえて皮肉を言うなれば、この本さえ読まなければ、そういった影響力の武器に騙されていたことすら気づかず、幸せに生きていけたのかもしれません(笑)。ただ、これからはより開かれたグローバルな社会を生き抜いていく必要があり、より影響力の武器は巧妙化していきます。それらの対処法を知っておくことの必要性を議論するまでもありません。筆者によれば、影響力の武器は、それを知っている場合でも効果的に働くというのです。筆者はこれをカチッ・サーと呼び、相当意識的に考えておかないといけないと主張しています。
固定的動作パターンとも紹介されており、特定の刺激が(カチッ)入れば、自動的に動作が(サー)と流れていく状況のことを示しています。人間には生まれながらにあらかじめプログラムされた性質があり、それは多くの場合、私たちに利益をもたらしてくるのですが、偽の信号刺激がそのプログラムに介入してきた時、ほぼ反射的に反応してしまい、間違った状況でそのプログラムがまわりはじめてしまうのです。このプログラムのせいで私たちは日々騙されてしまうのです。だからこそ、「私は絶対に騙されない。」と思っている人が騙されてしまうのです。これには抗いようがなく、本書を読んで対策を練り、来るべき日に備えるしか方法がないのです。
- 買い物に行くと、ついつい買うつもりのなかった商品を買ってしまう人
- 人に何かをもらったら、すぐにお返しをどうしようか考えてしまう人
- 期間限定、数量限定、などの言葉に弱い人
- 今後自分や身近な人が騙されないために、必要な知識を得たい人
もうこの本は本当に読んでいただきたいです。納得と鳥肌の連続です。「あの時こう返していればよかった。」「人間の本質につけ込むなんてなんて卑怯なんだ。」と思うことも多々ありましたが、資本主義とはそういう世界なのかとも思えました。消費者の財布の紐をいかに緩められるかなのだと。何も詐欺師に限った話ではありません。身近なあなたの目の前の店員が、今まさに目の前で「影響力の武器」を使っているのです。
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