前回とはガラっとジャンルを変えて、今回は「ウォール街のランダムウォーカー」という本を取り上げたいと思います。題名で想像がつくでしょうが、その通り、金融系の本です。私が自分の給料だけでは今後の資産を形成していくには少し不安を感じていた時に出会った本です。それでは早速紹介していきましょう。
まずこの本のすごいところは、初版が実に50年も前であるといういうこと。そしてなんといっても、著者の主張が一切ブレずに一貫しているところである。誤解を恐れずに言えば、著者であるバートン・マルキールさんご自身が改訂を重ねるたびに、ご自身の理論により自信を持つようになっているくらいである。金融、投資の世界において、これ以上の答えはあるのかという思いになります。本書でもこう紹介されています。
初版の中で私が発したメッセージは、「個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンド・マネージャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックス・ファンドを買ってじっと持っている方が、遥かに良い結果を生む」という単純明快なものだった。それから45年以上がたった今、私はこの考え方にいっそう確信を持つようになったのだ。
正直、すごい自信ですが、実際に50年間の歳月が筆者の理論を証明してきているのです。「ランダムウォーク理論」と名付けられた筆者の理論がいかに個人投資家にとって最適な投資方法であるかが、様々な観点から検証されています。500ページを超える超大作ですが、今後の自分のお金を着実に守りながらも増やしていく、そのためにはぜひ乗り越えていただきい。
この本の根幹をなす理論です。難しそうな言葉ですが、考え方はいたって簡単です。誤解を恐れずに言えば、「チンパンジーが投資を行なった場合でもプロの人間と同様の成果を上げることができる」というものです。あまりにも、乱暴な言い方(笑)ですので補足すると、投資の世界において、絶対的な正解などなく、チンパンジーがダーツを適当に投げて作ったポートフォリオが、プロの投資家が研究を重ねて作ったポートフォリオと同様の運用成果をあげることができるということです。つまりプロの投資家であっても絶対的な答えがない以上、高い手数料を払ってプロに依頼するくらいなら、インデックスファンドに投資し、保有し続けるという投資方法がいかに理にかなっているかということなのです。この考え方は現在随分浸透してきているようですが、それを50年も前から提唱し、実践し、正しさを証明してこられて筆者は素晴らしいの一言です。
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